工場や工事現場で、「安全第一」というスローガンが掲げられていますよね。
安全第一なら、第二、第三はないのか?と思った方もいるのではないでしょうか?
もちろん、ちゃんとありますよ。
元々のスローガンは、「安全第一、品質第二、生産第三」です。
元々は、アメリカで使われていたスローガンですが、日本に伝わる際に、肝心要の「安全第一」だけが取り入れられたようです。
「安全第一」が出来るまで
「安全第一」というスローガンは、アメリカで誕生しました。
「Safety-First」ってことですね。
実は、「安全第一、品質第二、生産第三」というのは、元々逆に使われるものでした。
1900年代初期のアメリカでは、工場経営の方針は、一般的に「生産第一、品質第二、安全第三」とされていました。
とにかく生産を上げろ。品質は後回しでいい。安全?生産性が下がらない程度でやっておけ!
といった程度の扱いだったようで、労災が頻発していたそうです。
そんな中、USスチールの社長だったエルバート・ヘンリ―・ゲーリーは、労働者たちの苦しむ姿に心を痛めていました。
彼は、敬虔なクリスチャンで、人道的な見地から、労働環境を改善しようとしたそうです。
そこで、「生産第一、品質第二、安全第三」を、「安全第一、品質第二、生産第三」に改め、ミシガン州の荒野にゲーリーシティと呼ばれる人間中心の画期的な工場年を建設しました。
1900年代初期の劣悪な労働環境は、不況で労働者が余っていたために出来たこと。
やがて第二次世界大戦がはじまると、労働者不足が問題になります。
そんな状況下でもゲーリーの経営方針を採った工場は、労働者を確保でき、生産性も高く、品質にも優れていたため、どの企業も「Safety-First」を掲げるようににありました。
人道だけの問題でもない
エルバート・ヘンリ―・ゲーリーは、人道的な見地から「Safety-First」を掲げたとされます。
でも、現代から見ると、この方針は人道的なだけではなく、とても理にかなった考え方だと分かります。
まず、労働力を確保するために、「安全第一」であることは必須です。
度々、労災が起こるような現場では、人材が育たないし、集まりません。
熟練工が増えることで、生産性も品質も上がります。
また、「生産第二」ではなく、「品質第二」としたこともポイントです。
品質を上げることで、競争力が上がりますし、不良品などで無駄が出ることも減るため、結果、生産性も上がります。
現代から見れば、生産性・品質を上げるために、必要な方針だと分かりますが、当時は掃いて捨てるほどいる労働者を使い捨てにするのが当たり前の時代。
改めて、アメリカの労働環境を変えた、エルバート・ヘンリ―・ゲーリーの慧眼が分かりますね。
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